ペット可賃貸の初期費用の内訳と、抑えるときの注意点
敷金の上乗せ・償却、礼金、仲介手数料、保証会社、火災保険。ペット可賃貸の契約時にかかるお金の内訳と、初期費用を抑えるときに見落としがちなポイントを、公的資料をもとに整理します。
更新日 · 読了目安 約 6 分 · Pawly 編集部
初期費用は「戻るお金」と「戻らないお金」に分けて考える
賃貸の契約時にかかる一時金は、大きく三つのパターンに分けて説明されています。一つ目は敷金で、家賃の未払いや原状回復費用などの債務を担保するために預けるお金です。退去時に債務を差し引いた残りが返還されます。二つ目は礼金で、貸主に支払って返還されないお金です。三つ目は償却や敷引と呼ばれるもので、退去時に借主の債務の有無にかかわらず一定額が差し引かれます。ペット可物件では、これらにペット向けの上乗せや特約が加わることがあります。まず「どれが戻り、どれが戻らないのか」を見積書の段階で仕分けておくと、総額を比べやすくなります。
敷金の上乗せと償却は、名目と返還条件を確認する
ペット可物件では、敷金を通常より多く預ける「上乗せ」や、敷金の一部を退去時に返さない「償却」が設けられることがあります。上乗せの月数は物件ごとに違い、東京の相場として一律の数字は示せません。たとえば家賃 15 万円で敷金が 1 か月分上乗せされるなら、追加で預けるのは 15 万円という計算です。確認したいのは金額だけでなく、その分が退去時に精算して返還されるのか、償却として返らないのかという点です。国土交通省の資料では、敷金の一部を返さない敷引特約は原則として有効と解されています。ただし最高裁判決は、補修費用として通常想定される額などに照らして高額に過ぎる場合は無効になり得るという考え方を示しています。
礼金とペット特約は、退去時にかかる費用まで含めて見る
礼金は返還されないお金なので、初期費用を比べるときは金額をそのまま負担額として数えます。もう一つ見落としやすいのが、退去時に発生するペット関連の特約です。国土交通省の資料には、ペット飼育可の物件で、ペットによるひどいキズや汚れを経過年数を考慮せず借主負担とする特約や、消毒・消臭の費用を定額で徴収する特約が設けられる場合があると紹介されています。賃貸住宅標準契約書の記載要領にも、ペット飼育を認める代わりに壁クロスの張替え費用を借主負担とする特約の例が挙がっています。退去時の負担も契約時に確認すべき費用と考えましょう。
仲介手数料は、法律で上限が決まっている
不動産会社に支払う仲介手数料には、宅地建物取引業法に基づく告示で上限が定められています。国土交通省の案内では、原則として、貸主と借主の双方から受け取れる合計の上限は、家賃 1 か月分の 1.1 倍(税込)です(長期間使われていない空き家などを貸す場合は、貸主から受け取れる額に特例があります)。居住用の建物では、依頼者の一方から受け取れる額は、依頼を受けるときにその依頼者の承諾を得ている場合を除き、家賃 1 か月分の 0.55 倍(税込)が上限とされています。家賃 10 万円なら、双方合計の上限は 11 万円で、承諾がない場合に借主一人から受け取れるのは 5 万 5000 円までという計算です。見積書では、何に対する費用かを確認してください。
保証会社と火災保険は、加入条件と補償内容を確認する
連帯保証人の代わりに保証会社との契約が契約の条件になっている物件では、保証会社との契約が必要で、借主が保証料を支払います。保証会社の登録制度は任意で、国に登録された業者の情報は公表されているため、選べる場合の参考になります。火災保険について、日本損害保険協会は、建物は所有者が加入し、家財は入居者が自ら加入する必要があると説明しています。借家人賠償責任特約は、借主の責任による火災などで借りている部屋に損害を与え、貸主に賠償責任を負った場合に備える特約です。ペットによる傷や汚れが補償の対象になるかは商品ごとの約款で異なるため、申し込む前に保険会社へ確認しましょう。
初期費用を抑える前に確認したい落とし穴
敷金・礼金が不要の物件は、契約時の負担を軽くできる一方で、退去時の請求には注意が必要です。国民生活センターは、敷金礼金不要のアパートで、契約書の記載と異なる清掃代や、入居前からあったキズの修繕費を請求された相談事例を紹介しています。ペット可物件では、清掃費の定額負担や原状回復の特約が別に付くこともあります。「初期費用が安い」ことと「トータルで安い」ことは別なので、退去時にかかる可能性のある費用と合わせて比べましょう。東京都内の居住用賃貸の新規契約では、不動産会社が退去時の原状回復の考え方や借主の負担内容を書面で説明することになっています。内訳が分からない項目は、契約前に説明を求めて構いません。
Pawly で初期費用を比べる方法
Pawly の「初期費用控えめ」フィルタは、敷金と礼金の合計が家賃の 2 か月分以下の物件に絞り込みます。仲介手数料や保証料、ペット向けの上乗せや特約までは含まないため、絞り込んだあとに個別の物件で内訳を確認してください。規約透明度スコアは、敷金の上乗せ、退去時の清掃費、原状回復の特約などが明示されているほど高くなり、「規約を透明に開示」フィルタは、ペットの規約が掲載情報に明記された物件に絞り込みます。ただし掲載情報から読み取れた範囲での評価なので、金額は契約書で確認してください。物件詳細の「退去費用シミュレーター」では、想定居住年数を動かして概算を確認できます。家賃をもとにした簡易な目安で、部屋の状態やガイドラインの経過年数の計算は反映していません。契約時の初期費用とは別に引越し費用もかかるので、総額で資金計画を立てましょう。
よくある質問
出典
この記事の事実関係は、次の一次情報で確認しています。制度や数字は変わることがあるため、手続きの前に最新の公式情報を確認してください。
- 民法(第621条 賃借人の原状回復義務・第622条の2 敷金)(外部サイトが開きます)(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
- 民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改訂版・令和4年3月)(外部サイトが開きます)(国土交通省)
- 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に関する参考資料(令和5年3月)(外部サイトが開きます)(国土交通省)
- 賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版・連帯保証人型)(外部サイトが開きます)(国土交通省)
- 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版・平成23年8月)(外部サイトが開きます)(国土交通省)
- 宅地建物取引業法(第46条 報酬)(外部サイトが開きます)(e-Gov 法令検索(デジタル庁))
- <消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ(賃貸借の仲介手数料の上限)(外部サイトが開きます)(国土交通省)
- 家賃債務保証業者登録制度(外部サイトが開きます)(国土交通省)
- 火災保険(そんぽのホント)(外部サイトが開きます)(一般社団法人日本損害保険協会)
- 損害保険Q&A 問52 火災保険(借家人賠償責任保険〔補償特約〕の補償内容)(外部サイトが開きます)(一般社団法人日本損害保険協会)
- 住み始める時から、「いつか出ていく時」に備えておこう!-賃貸住宅の「原状回復」トラブルにご注意-(外部サイトが開きます)(独立行政法人国民生活センター)
- 賃貸住宅紛争防止条例(東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例)(外部サイトが開きます)(東京都住宅政策本部)